さわだ行政書士事務所のブログ 二足のわらじの奮闘日記

京都府亀岡市にある「さわだ書店」と「さわだ行政書士事務所」。書店をしながら行政書士も頑張っています。

人生の交差点

先日、公証役場に行っていました。

公正証書遺言書を作成するためだったのですが、そこでどえらいモメている親子らしき方がいらっしゃいました。

 

話の内容はもちろん分からないのですが、法律の知識のないお母さんに遺言書を書いてもらうために、子どもさんが公証役場に連れてきた、というような場面だったようです。

遺言内容の打ち合わせだったのでしょうが、そのお母さんの顔は、納得してらっしゃるようには見えませんでした。

もし、私たちがお手伝いできていれば、状況は違っていたのかもしれません。

だって、遺言は本人(遺言者)の意思のみで作成できますから。

子どもに怒られ、せかされながら、子どもの意のままに書くことは、遺言の本来の目的ではないと思います。

遺言は、自分(遺言する人)の意思を死後に実行させるためにあるべきです。

 

職業柄、公証役場に行く機会が多いのですが、この場所は「人生の交差点」だなあと、いつも思います。

来られる方は千差万別。

待合室には、私のように専門職であろう方が、高そうなスーツをビシッとキメてる方が、電話片手に慌ただしく出入りされていることはもちろん、家族に囲まれながら、遺言される方が緊張した面持ちで座ってらっしゃることもあります。

もしくは、どんな関係性なんだろう?と思うような組み合わせの方も、時にはいらっしゃいます。

もちろん、推測するようなことはしませんよ。

つくづく、公証役場は権利義務に関わることを取り扱われている場なんだと、気持ちが引き締まります。

私たちは、そのような重要な役割を担う仕事に携わっているのですから。

 

さて、その公証役場で行われるものの一つとして、公正証書遺言があります。

 

私たち行政書士の役割は、遺言をする人と向き合い、目的を達成されるために遺言者の希望に沿う内容で、法律に従い、遺言書の原案を作るなど、そのお手伝いをすることにあります。

その原案をもとに、公証人の先生と打ち合わせをするなどして、ご本人さんは遺言書の作成を行うことになります。

なにしろ行政書士は、「町の身近な法律家」ですから。

親身になって、遺言者に寄り添って目的が実現できるよう、力を尽くす存在でありたいと思っています。

 

なお、公正証書遺言については、実行の確実性が高い遺言の形式ですから、要件も厳密で、遺言書の作成の当日にあたっては、本人さんの事理弁識能力の有無のほか、口述による聞き取りと記述、資料の閲覧による確認等を公証人が綿密にされながら、証人2名がその場に立ち会うことが必要となります。

 

この証人には、誰でもなれるわけではありません。

  • 未成年者
  • 推定相続人(将来相続人となる人)、受遺者(遺贈を受ける人)、これらの配偶者と直系の血族
  • 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記や使用人

 

以上の方は、証人となることはできません。

未成年者のほか、将来の相続において利害関係が生じる相続人などは、証人となることができない、しかも4親等内の親族はダメということになりますから、つまり、おおざっぱに言えば、「遺言者の近しい身内は証人になれない」ことになります。

そりゃそうですよね。

遺言する人を、上手く言いくるめて、財産を受け取る人が遺言書を書かす場合もあるようですから、そんな時に、そんな人が証人になっていたのでは、制度が形骸化してしまいます。

何の利害関係もない、然るべき第三者が証人となることで、制度の公正性が保てれています。

 

また、上記の要件には当てはまらない人であっても、資質的に相応しくない人も、証人とすることは避けるべきです。

例えば、口の軽い人。

近所の気のいいおじさんに頼むこともできますが、ペラペラしゃべられては、遺言することの意味がなくなったり、かえってトラブルを招くこともあります。

その点、私たち専門職には守秘義務がありますから、安心です。

実際、業務として公正証書遺言の作成に携わったときは、私が証人となりますし、行政書士仲間から依頼されて証人となることもあります。

 

公正証書遺言は、死後において、自分の意思を実行させる最も有効な手段です。

その場に立ち合い、そのお手伝いができることを、嬉しく誇りに思っています。