さわだ行政書士事務所のブログ 二足のわらじの奮闘日記

京都府亀岡市にある「さわだ書店」と「さわだ行政書士事務所」。書店をしながら行政書士も頑張っています。

死亡届が受理されない?

身内の方が亡くなれば、その後の手続きなどが大変というのは、一般的な認識だと思います。

人が亡くなれば、まず必要なこととして、死亡の事実を知ったときから7日以内に「死亡届」を市区町村役場に届出なければいけません。

国外で死亡したときは、その事実を知った日から3か月以内です。

 

でも、死亡届って、誰が出すのでしょうか?

人が亡くなった場合、「死亡届は誰かが出せばいい。」もしくは、「その人に一番近い人が出す」ぐらいにしか思われていませんか?

しかし法律では、死亡届を提出できる人が定められています。

といいますか、戸籍法の第87条では、届出をしなければならない提出義務者としています。

 

提出義務者には、提出者となる順番の高い順から、

①同居の親族

②その他の同居者

③家主、地主又は家屋もしくは土地の管理人

 

また、「提出できる」として認められている(第87条の2)のは、

〇同居の親族以外の親族

〇後見人、保佐人、補助人及び任意後見人

以上です。これ以外の立場の人は、死亡届を提出できません。

「遺言」で遺言執行人に定めても、「死後事務委任契約」で定めても、原則は市区町村役場では受理されません。

死亡する本人が、その生前に死亡届の提出を委任することを、戸籍法が認めていないからです。

 

提出義務者である①「同居の親族」は、一緒に住んでいる配偶者や子供などですね。

それ以外には提出できる立場として「同居の親族以外の親族」がありますが、これには6親等内の血族、3親等内の姻族が該当します。

かなり遠い親戚までが含まれるということですね。

 

②「その他の同居者」には、戸籍の関係は必要ありませんから、内縁の妻でも、シェアハウスの同居人でもいいのです。

ただし、住民票の住所が亡くなられた人と同じでなければいけません。

 

③「家主、地主又は家屋もしくは土地の管理人」については、以前平成28年8月6日付けで私がブログで書いた、「高齢者も安心して暮らせる社会を」にも関係するのですが、賃貸住宅であれば、亡くなられた方に身内がいらっしゃらなくても、家主の方が死亡届を出せることになっています。

施設や病院にいるときでも同じです。

「家屋管理人」として届出ができることになります。

亡くなったときの「場所」で判断されます。

 

場所が重要なんですよ。

ということは、全く身内がいらっしゃらずに、持ち家の中で突然亡くなられた方は、誰が死亡届を出すのでしょうか?

というよりも、死亡届を出すことができるの?ということが問題になります。

結論を申せば、「難しい」になります。

お隣に、家族同然に親しい付き合いがあった人がいたとしても、その隣人さんは死亡届を出してあげることができないのです。

死亡届が出されないと、火葬をすることもできません。

 

亡くなられたご本人には気の毒な事態なのはもちろんですが、死亡届を出せる人が見つからない場合に困るのは、その方に関わって来られた人です。

例えば高齢者で介護が必要であった場合は携わられてたケアマネージャーさんであったり、生活保護を受給されていれば、その方のケースワーカーさんなど、もしくは地域の民生委員さんなどです。

人道的にも、放っておけないですよね。

懸命に親族を探されたりしますが、行政と相談しながら行わなければ親族の住所も分かりませんから、かなり大変な作業になります。

しかも、ようやくたどり着いた親族であっても、疎遠であったなら、「関わりたくない」と言って拒否されることも多いようです。

 

では、死亡届が提出できない場合、ご遺体はどうなるの?

最終的には自治体と警察などが協議のうえ、死亡届に代わり「死亡記載申出書」を作成して手続きなどを進め、納骨に至ることになると考えられます。

納骨までの一連は税金で行われるので、その方の尊厳を最低限守られるように配慮しながらの行政行為に留まるのは、やむを得ないと言えます。

今は核家族化が進み、親戚関係も希薄になりがちな世の中ですから、独居のご老人が増えていて、全国でもこのような問題が生じているようです。

 

死亡届が提出できない事態が生じていることは、高齢者の「地域での見守り」でもどうすることもできません。

時代を反映した戸籍法の改正も必要かと思いますし、独居のご老人がますます増える世の中の仕組みの見直しも、今後について考えていく必要があると思います。