さわだ行政書士事務所のブログ 二足のわらじの奮闘日記

京都府亀岡市にある「さわだ書店」と「さわだ行政書士事務所」。書店をしながら行政書士も頑張っています。

NPO法人の監事は、職員を兼務できませんよ

とある特定非営利活動法人NPO法人)の役員の方から、先日、問い合わせがありました。

「法人で監事をされている方に職員として働いてもらおうと思うのですが、可能ですか?」とおっしゃるのです。

 

私の答えは、「ダメです。NPO法人の監事は、職員を兼務することはできません。」と、お答えしました。

その理由は、特定非営利活動促進法(NPO法)第19条で、「監事は、理事又は特定非営利活動法人の職員を兼ねてはならない」と定めており、監事は有償、無償を問わず、理事や職員を兼務することを禁止しているからです。

この規定は、NPO法人という公益性が比較的高く、税制面などでも優遇されている法人は、運営は透明で公平性が保たれる必要があること、もし監事が職員となることを認めれば、法人の役員との間で雇用関係が生じることなどから、第三者の立場から法人を監視する立場の独立性が、保てなくなることが根拠となっていると考えられます。

ちなみに、理事は職員 を兼務することができます。

ご質問をされたNPO法人の役員さんには、このようなお話をさせていただきました。

 

すると、後日、その役員さんから連絡があって、「できるじゃないですか。他の行政書士さんのホームページに書いてありますよ!」とおっしゃるのです。

 

私もそのホームページを見ましたが、ちょっと書き方が紛らわしいのです。

NPO法人の監事にお金を払う方法」というような視点で書いてあるのです。

その方法は、「監事を法人の役員とすれば、労働に対する対価としてではなく、役員報酬として支払うことができる」というような趣旨でした。

この発想で考えれば、確かに監事であっても、法人からは役員という任務(職責)に対する報酬として、お金を受け取ることができます。

 

それに異論を唱えるつもりはないですが、論点がすり替わっていませんか?

こんな書き方をすると、一般の方には、「職員として働く対価ではなく、役員の報酬として支払うお金である」ということを主張さえすれば、問題ないように映ってしまうようです。

 

しかし、NPO法第19条の目的(趣旨)考えると、監事は中立性や独立性を担保するために、職員との兼務を禁止しているのであって、お金の問題を言っているのではないのです。

何よりの大前提として、「監事は職員として働くことを禁止されている」ことを、まずは明示しなければなりません。

このあたりの説明が不十分のままで、「監事には役員報酬としてお金を支払う方法がありますよ」というようなことを提案(掲示)してしまうのは、誤解が生じる(実際に生じました)ので、危険です。

 

行政書士は、法律の趣旨に沿った形で、制度の利用などに関して適切にアドバイスすることに、存在意義があるのだと思っています。

もし、制度の隙間をつくような指南をすることで、法に触れないのならまだしも、脱法行為を促すようなことであれば、行政書士が行うことではありません。

 

おそらく、ホームページで監事と役員報酬との関係を書かれた行政書士さんは、違法行為を指南されているのではなく、少し説明が足りなかっただけということは、充分に理解できます。

 

同じくホームページやブログで情報を発信する者は、私も含めて十分に気を付けないといけないな、と思いました。