さわだ行政書士事務所のブログ 二足のわらじの奮闘日記

京都府亀岡市にある「さわだ書店」と「さわだ行政書士事務所」。書店をしながら行政書士も頑張っています。

旧姓に戻るには期限があるの?ないの?

暑いですね。

でも、東日本は記録的な冷夏となっていて、農作物にも深刻な影響が出てるとか。

今年は当初の予報では、希に見る猛暑になるということでしたが、ふたを開けてみると、西日本にしても比較的過ごしやすい夏となっていますね。

気象衛星の進化とスーパーコンピューターの活躍で、気象の予報は正確になってきていますが、それでも大きく予想が外れることもあるのですから、やっぱり地球ってスケールがデカイ、と思ってしまいます。

ちなみに、私個人の心配としまして、住まいのエアコン(リモコン)の故障があったのですが、今のところ、あまりエアコンの世話にはならずに済んでいます。

よかった、よかった。

結局、型が古すぎて(94年製)修理できませんでしたから。

室温27℃の固定で、送風はしてくれています。

 

さて、またまた戸籍のお話です。

先日のニュースで、夫と死別された女性芸能人の方が、夫の親族(妻から見れば姻族)に理解を求めたうえで、結果的に旧姓に戻したということが報道されました。

 

つまり、離婚から数年が経過してから、名字を旧姓に戻したことになります。

以前にこのブログで、「姓を変更するには家庭裁判所の許可が必要。しかも、やむを得ない事由が求められます。」とお伝えしていました。

しかし、今回のケースでは、家庭裁判所の許可は求めておられません。

しかも、数年が経過しています。 

 

「え?なんで?家裁の許可いらんの?」と思われませんか?

 

答えとしては、今回のケースでは、許可は不要です。

なぜなら、夫婦が別離した状況に違いがあるからです。

「死別」か「離婚(離縁)」かによる違いです。

 

離婚した場合では、戸籍から抜ける(除籍)側は、夫婦で婚姻関係となる前の姓に戻ります(復氏)。

これが原則です。

しかし、離婚から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称の届)」を提出すれば、離婚後も引き続き、婚姻時の姓を名乗ることができます。

これが例外にあたります。

そして、この場合であってその後、「やっぱり旧姓に戻りたい」と希望したときには、家庭裁判所に氏の変更許可の申立てをしなければ叶わず、しかもそれが認められるには、「やむを得ない事由」が求められるのです。

ちなみに、やむを得ない事由の例としては、例えば子どもが小さいときには学校の関係などで名字の変更をしたくなかったので夫の姓のままにしていたけど、子どもが成年になったので、自分は旧姓に戻りたくなった、などの理由があるときです。

このような理由があれば、申し立てをすれば家庭裁判所は比較的認めてくれるようです。

 

「離婚 」の場合は、別離にあたり当事者の意思が加わりますよね。

したがって、離婚後も婚姻時の姓を名乗りたいのであれば、3か月以内にしてねという制約があります。

その猶予期間を超えて、また、届出をして婚姻時の姓を名乗ったのなら、「やむを得ない事由」がなければ、改姓できませんよ、という仕組みになっています。

なお、離婚をした場合は当然に、「姻族関係は終了」します。

姻族とは、本人から見て、配偶者側の親族のことです。

自分の意思で当事者同士が離婚をして、それぞれが別の道を歩む選択をしたのに、相手方の親族については関係が継続するのは、おかしいですよね。

だって、当事者同士は事実上、無関係になったのですから。

 

一方、死別の場合は、自分の意思とは関係なく、夫婦の婚姻関係が解消されてしまう事態となります。
この場合においては、その後、亡くなった配偶者の親族(姻族)との関係を継続するのも終了するのも、当事者である本人の意思で決める権利が認められています。

なるほど、人の感情に配慮がなされていて、道理がありますよね
姻族との関係を継続することを望むなら、そのまま何もしない。

姻族との関係を終わらせたければ、「姻族関係終了届」を提出すればいいのです。
氏(姓)にしても同じです。
配偶者の死後に何もしなければ、死亡した配偶者との間で編製された戸籍に留まります。

旧姓に戻りたければ、死亡届の提出後であれば、期限なく、市区町村役場にいつでも「復氏届」を提出すればいいのです。

よって、本人の自由意志で決めるものであり、その意思表示をするのに期限もありません。

婚姻前の戸籍(例えばお父ちゃん)に戻るか、もしくは分籍届を提出して新戸籍を編製することになります。

ただし、旧姓に復氏した後は、再度婚姻時の姓に戻すことはできませんので、注意が必要です。

つまり、届出をするという意思表示をしたのなら、それで確定となるのです。

姓を行ったり来たりは、社会通念上、相応しくないということでしょう。

 

ですから、先日にニュースで報じられた女性芸能人の方は、
①死別した夫の姓のままとしたかったので、死後は何の届出もしなかった。
②数年後に、諸般の事情から、旧姓に戻って新しい人生を歩むことを希望した。
③役場に「復氏届」と「姻族関係終了届」を提出した。

なお③は、当事者である自分の判断で行うものですから、当然ながら、誰の承諾も必要ありません。
親族が「ダメ!関係を解消しないで!」と言っても、提出する本人を説得する以外に、届出の受理を阻止する方法はありません。
ですから、この女性芸能人の方も、あくまで道義上、親族に連絡されたのでしょうね。 

でも、疑問があるとすれば、なんで「復氏届」を今さら出してまで旧姓に戻したかったのでしょうか?

既にお付き合いをされている方がいらして、結婚も考えている間柄だとすれば、婚姻すれば相手方との戸籍に入ればいいだけなのですから。

結婚すれば自動的に、亡くなられたご主人との戸籍からは、抜ける(除籍される)ことになりますよね。

戸籍上においても、気持ちの面でも整理をしておきたかったのでしょうか。

 

配偶者との別れは、その原因によって、当事者の置かれる状況が異なります。

別離後においても、滞りなく円滑に社会生活を送れるよう、また、取り巻く人間関係にも配慮をするために、しかしながら当事者の権利は尊重されるべきですから、改姓を認める要件に軽重を付けることで、公平公正な法律による戸籍制度の運用が行われているのですね。

 

家族(親族)は紙(戸籍)の上だけの関係ではありませんよね。

人には情(じょう)があり、情(なさけ)があります。

「愛情」において、「愛」は時と共に色あせることもあるかもしれませんが、「情」は残りますよね。

それが夫婦ってものじゃないですか!

なんてね。