さわだ行政書士事務所のブログ|京都・亀岡の相続・遺言・許認可|二足のわらじの奮闘日記

「さわだ行政書士事務所」と「さわだ書店」。京都府亀岡市で行政書士をしながら書店業も頑張っています。

家を建てるには、その土地の権限は賃貸とするのか売買とするのか、どっちが有利?

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不動産のお話です。

土地の権限について

 

家を建てるには、その土地の権限は賃貸と売買、どっちが有利だと思いますか?

  

あなたが家(一戸建て)を買う場合、普通は土地と建物を一緒に買いますよね。

でも例えば、親族の土地があるので、そこに家を建てたいとした場合、どうしますか?

親族なので、例えば無料で提供してくれたり、貸してくれたりすることを期待しますよね。

 

でも、安易に親族間で不動産のやりとりをしようとすると、トラブルの元になりますよ。

 

だって、お互いに利害関係が発生するでしょ。しかも何百万、何千万円のレベルです。

 

家を建てる側は、少しでも有利に土地を取得もしくは利用しようと思いますよね。

そしてこの場合、話を持ち込むのは、家を建てたい側です。

だって、親族に対して、「うちの土地に家建ててみない?」なんて言わないですよね。

どちらかと言うと、土地を持っている親族に、「あの空き地に家を建てたいんだけど、どうかな?」と相談する方があり得る話ですよね。

 

私は行政書士ですから、一般の方の権利を守ることに重きを置いて業務をしています。

いわば、「予防法務」です。

よって今回は、土地を提供する側の立場で考えてみます。

 

例示

 

事例としては、土地(空き地)を所有しているA子さん(60代)と、家を建てたいという甥のBくん(20代)がいるとします。

Bくんは、おばさんであるA子さんから、土地を借りて家を建てたいと考えています。

A子さんとしても、かわいい甥っ子の頼みですから、それに協力してあげたいと考えますが、A子さんは老後の頼みである財産は、この土地だけです。

だから、差し上げる(贈与)することはできません。

しかも、Bくんは建物を立てるためにお金がかかるので、一括で土地代金は払えないとのこと。

ということは、A子さんの選択肢としては、「Bくんへの賃貸」か、もしくは「Bくんからの直接の分割払いでの売却」です。

 

ここで既に、親族間での不動産取引に大きな問題があります。

 

それは、親族間の取引に対して、金融機関はローンを設定することに消極的であるという実態です。

なぜ金融機関が消極的であるのかは、一般的には、「親族間においては、不当な取引ではないことを証明する材料に乏しい」からと言われています。

どゆこと?と思われるかもしれませんが、要するに、「親族(親子など)だから、何でもありなんじゃないの?」と見られてしまうことです。

だって、親族は親しい間柄なんですから、当事者間でどんな取り決めをしているか、金融機関には分からないですよね。

もしかすると、金融機関を最優先にしないような資金計画があるかもしれません。

この不動産取引(親族であるA子さんからBくんへの売買)は、金融機関から信用してもらえない、リスクが高く融資するに値しないということです。

だから、先程のA子さんBくんの選択肢に、「Bくんからの直接の分割払い」と書いたのは、Bくんが金融機関からお金を借りて、そのお金でA子さんから土地を購入することは、おそらく極めて難しいからです。

 

 

では、A子さんは、「Bくんへの賃貸」か、もしくは「Bくんからの分割払いでの売却」の、どちらを選択するべきだと思いますか?

 

状況としては、どちらも毎月、BくんからA子さんにお金が支払われることになりますよね。

だったら、どっちでもいいじゃん!と思いますか?

 

この質問への完全な正解はないと思いますが、私の見解では、A子さんが自身の財産を確保(より確実な方法で現金化)するためには、「Bくんからの分割払いでの売却」が良いと思います。

 賃貸借と売買では、その効果が全く違うのです。

 

 

 

理由と根拠

 

賃貸借は、所有権はA子さんのままで、Bくんが家を建てることになります、

一方、売買は所有権をBくんに移した上で、家もBくんの所有になります。

だったらA子さんにとっては、所有権が残ったままの賃貸借の方が有利じゃないの?と思われるかもしれません。

しかし、賃貸借には「借地借家法」という法律が適用されることを考慮しなければいけません。

これによれば、借地上に家を建てるには、その賃貸借期間を最低でも30年以上を書面により契約しなければなりません。

しかも現在の法律では、賃借人(Bくん)の権利が、強く保護される規定になっています。

そりゃまあ、せっかく建物を建てたのに、土地の賃貸人の都合で立ち退けと言われたら困るので当然ではあります。

逆に言えば、賃貸人(貸主)とすれば、自己都合で立ち退きを求めるのは、ほぼ不可能と言うことです。

しかも30年でしょ。もう、Bくんに土地を差し上げたのも同然なんですよ。

もうこの土地は、返ってこないと考えるぐらいが賢明ではないでしょうか。

 

 

さらに賃貸借と売買では、債務不履行、つまりBくんがA子さんにお金を支払わなくなった場合に、大きな違いが出てきます。

 親族なんですから、しかもBくんは若いためにおそらく、建物を現金一括で購入することはできず、ローンを支払っていますよね。

つまり、金融機関とおばさんの2重ローンなんですよ。

返済に困った場合、金融機関とおばさんなら、どっちを優先しますか?

当然ながら、金融機関への返済を優先しますよね。

だって、金融機関は実力行使(抵当権の実行)をしてきますから。

ということは、A子さんはBくんからの返済について、安定しない状態にあるわけです。

 

たとえば、土地の評価額が1000万円で、Bくんからの毎月の返済額は5万円だったところ、3か月にわたって返済が滞ったとします。

これが賃貸借の場合、A子さんがBくんに請求できるのは15万円分(地代の3か月分)ですよね。

一方、売買契約の場合はどうですか?

もちろん契約内容にもよりますが、債務不履行により、土地の残債(売買代金1000万円から、すでに支払った額を差し引いた額)を一括で返済するよう求めることができます。

 

この違いって、大きくないですか?

 

Bくんは3か月滞納したんですから、これからも滞納しますよ(偏見?)。

もう信用に足らないですよね。

でも、賃貸借なら、その滞納金しか請求できずに、しかも確実に回収するには裁判も想定されますから、その弁護士費用などを考えると、15万円では赤字ですよ。

費用対効果から、裁判まで起こせないでしょ。

一方、売買なら債務不履行を理由に、売買代金の残債の全額を回収することが期待できます。

これなら弁護士にお願いして裁判までする価値がありますよね(親族間での関係悪化は避けられないですが)。

 

 

このあたりの効果まで予測して、私たち専門家は、当事者同士が円満である契約時において、リスク回避の内容をご提案して契約書の起案を行います。

 

よって、この場合であれば、A子さんには売買契約をお勧めし、さらにBくん側には連帯保証人が必要ですし、場合によっては、所有権を移す土地にはA子さんが抵当権者になることまで検討します。

最悪の場合まで考えて、リスクの回避を検討することが、私たちの仕事だと考えます。

しかし、どんな場合でも完全はありません。

メリットとデメリットを比較考量していただいて、その上でご本人様が判断されることになる、その材料を提供するのです。

 

この事例の場合、そもそもBくんは虫が良すぎます。

「土地を貸りて」というところが、強かでもあります。

銀行が評価するBくんの返済能力を超えたところで、家を建てたいのですから、そんな発想になるのでしょう。

仮に土地の問題がAB間でまとまったとしても、その土地に家を建てるのなら、金融機関は建物の建築費についても、おそらくローンを組んではくれない可能性があります。

親族間売買は、それほどに金融機関からは信用に足らない取引だとみなされるようですから。

Bくんは、身の丈にあった家を、どこか他の土地で探すのが現実的で、後々の親族円満のためでもありますね。

 

でも、親子でも兄弟でも親族でも、そうは割り切れない関係性、しがらみがありますよね。

そんなときには、きちんとした契約ですよ。

まずは我々専門家に相談していただき、場合によっては不動産業者や弁護士に間に入ってもらう。

これが大切だと思います。

 

 私はファイナンシャルプランナーでもありますので、さわだ行政書士事務所では行政書士との両方の見地からアドバイスさせていただきます。

 

 

どうぞお気軽にご相談ください。