さわだ行政書士事務所のブログ|京都・亀岡の相続・遺言・許認可|二足のわらじの奮闘日記

「さわだ行政書士事務所」と「さわだ書店」。京都府亀岡市で行政書士をしながら書店業も頑張っています。

親子の縁を切ることはできない 自己都合で戸籍上の親子関係を絶つなんて、認められません

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事件について

 

先日発生した、東海道新幹線車内で乗客3人が切りつけられ死傷された事件のことで、強い違和感を覚えました。

加害者の両親からの発言内容について、です。

 

 

加害者の父は取材に対し、「〇〇君(加害者の名前)とは今は家族ではない。中学生の頃からほとんど会話はなく、関係は断絶していた」とおっしゃっていますよね。

 

何を言ってらっしゃるのか?「家族ではない」とは、あまりに無責任な発言ですよ。

報道によれば、加害者には発達障害があったために、育てるのに苦労して、両親とのトラブルも多かったので、加害者は祖母のところで生活したんですよね。

施設に入ったこともあったそうですが、祖母と養子縁組までしたんですよね。

そして、加害者の父親のコメントによれば、加害者には兄がいるらしいですね。

 

これって、あくまで推測ですが、言葉も適切ではないかもしれませんが、両親は加害者を家族として切り離したかった表れではないですか?

だって、祖母と養子縁組する理由がありませんもん。

あるとすれば、「両親は、長男と在籍する戸籍から、加害者の名前を消したかったこと」でしょうか。

そのように考える理由は、父親の「今は家族ではない」発言にあります。

おそらく、父親を筆頭者とする現在の戸籍には、父、母、長男のみの記載になっていて、加害者の名前は記載されていない状態ではないでしょうか。

加害者は戸籍まで、祖母を筆頭者とするところに入籍した、もしくは、成人しているので、分籍して自分が筆頭者の戸籍に一人で入ってるかのどっちかだと思います。

この方法であれば、加害者の名前は、父親を筆頭者とする戸籍から消えます。

 

両親の目的

 

なんで両親は、そんなことをしたかったのか。

戸籍は、本籍地を移す(転籍する)と、除籍された人の名前は記載されないからです。

表面上は、現在一緒に生活している家族の名前のみを記載させることができるのです。

【参考】戸籍の現在事項の記載について 

 

 

だからこれをもって、加害者の父は、「今は家族ではない」なんて発言をしたんではないかと思います。

現在戸籍の記載をもって、事実上の家族は、加害者を除く3人であるとしたかったのでしょうか。

そんなこと、なんの意味もありませんよ。

祖母と養子縁組をしても、両親との親子関係が解消されるわけではありませんから。

あくまで、表面上の現在戸籍において、除籍された加害者の名前が記載されないだけの話です。

過去の戸籍の状態を記載した原戸籍には、親子関係の記載が残るのに。

 

当然ですよ。

 

今の法律で、自己都合で成人した息子との親子関係を解消する方法なんて、ありませんから。

 

 

昔、よくドラマとかで、「お前なんか勘当だ。もう親でも子でもない。出てけ!」「ああ、出て行ってやるよ。もう二度と帰ってこないからな!」とかありましたが、これも法的には、親子関係は継続していますから。

当然相続関係もありますよ。

 

もし今回の、新幹線の車内で起きた殺傷事件を起こした加害者の両親が、戸籍の変更を行ってまでも、その子との関係を無いことにしようとしたのなら、なんて話なんだろうと思います。

祖母との養子縁組を進めたのは、母だそうです。

加害者は賢い子だったという話もありますよね。

両親とのトラブルも、多々あったんですよね。

そうした状況で母から、養子縁組を勧められる子の気持ちって、どうですか?辛くないですか?

養子縁組を勧められる理由は、自分は親から捨てられるからだと、思ったのではないでしょうか。

加害者の母親の、「愛情を持って育てた」という言葉が、まったく真実味を帯びては聞こえてきません。

 

もちろん、このような環境で育ったからといって、このような重大な事件を起こす理由にはなりません。

人の命を奪う権利は、誰にもありません。

許されない行為です。罪は償わなければなりません。

一方、被害者の方の、勇敢で立派な行動には、本当に頭が下がります。

失われた命は、帰ってきません。

この方のご家族は、さぞ無念だろうと思います。

 

まったくもって加害者を擁護する気持ちは微塵もありませんが、体裁を取り繕うためにわざわざ戸籍の改製等を行ったとすれば、加害者の両親に強い憤りを覚えます。

戸籍は、そんなことをするために存在するのではありません。

まして、戸籍を変えただけで、「親子ではない」なんて、言わないでほしい。

家族は、そんな簡単なものではありません。

実態上も、法律上も、家族は家族。

お互いに支え合って生きていくものなんですから。

 

あらゆる意味で、とても残念な事件です。