さわだ行政書士事務所のブログ|京都・亀岡の相続・遺言・許認可|二足のわらじの奮闘日記

「さわだ行政書士事務所」と「さわだ書店」。京都府亀岡市で行政書士をしながら書店業も頑張っています。

戸籍や住民票の氏名は変えられるの?ドラマに見る疑問に答えます

f:id:synce-office:20180918111425p:plain

名前って、変えられるの?

 

フジテレビ系列の月曜夜9時からのドラマ、「スーツ」は見てますか?

中島裕翔さん(Hey! Say! JUMPのメンバー)、かっこいいですよね。

私たち世代(40代)にとっては、あの東京ラブストーリーで一世を風靡した織田裕二さんと鈴木保奈美さんが共演したことでも、話題性がありますね。

 

このドラマの主な出演者は、みなさん個性的です。

  • 鈴木大貴(演者:中島裕翔さん):記憶力の天才であるが、過去に替え玉受験に関わったことで弁護士になれないでいた
  • 甲斐正午(演者:織田裕二さん):関わった案件は、絶対に勝つことが使命の敏腕弁護士
  • 幸村チカ(演者:鈴木保奈美さん):鈴木と甲斐が所属する大手弁護士事務所の代表

 

このドラマでは、鈴木の能力を高く評価した甲斐は、名前が一字違いで実在する「鈴木大輔」という弁護士に、鈴木がなりすますことを画策します。この鈴木に、自分の部下の弁護士として、活動させようとしたのです。

そのために第1話では、鈴木は自分の名前を「大貴」から「大輔」に、戸籍(及び住民登録)上も氏名を変更しようとして、区役所の窓口に行くシーンがありました。

 

私としましては、この問題をどのようにドラマでは扱うのか、興味がありました。

といいますのも、名前は容易には変更できませんから。

その理由は、戸籍に登録された氏名が容易に変更されると、管理上の不都合や支障が生じるからだと言われています。

人は生まれると、親の戸籍に入籍します。

そして、その情報を基に、住民登録などがされます。

実際、名前等を訂正するときは、住民登録されているところではなく、本籍地のある市区町村役場に、訂正(変更)の申出書を提出することになることからも、分かりますね。

戸籍の記載の訂正(変更)が認められると、住民登録されている市区町村に連絡されるという流れです。

 

このドラマにおいても鈴木は、区役所の窓口にて、「名前を変えたいんですけど」と言いました。

すると、職員は、「容易ではなく、家庭裁判所の許可が必要ですよ。」というような事を言っていました。

 

そうなんですよ。

よほどの理由がない限り、氏名を変更することは認められません。

特に名字(姓)は難しいと言われてますが、名(下の名前)であっても、変更するために相当の理由(蓋然性)がなければ、認められません。

例えば、極端なことを言えば、「名前を変えないと生きていけない明白な事由がある」などです。

その証拠も必要になるでしょう。

いずれにしても、家庭裁判所に申し立てて、その許可が必要です。

裁判所|名の変更許可

 

これによると、

 

正当な事由とは,名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合をいい,単なる個人的趣味,感情,信仰上の希望等のみでは足りないとされています。

 

 

なるほど。鈴木大貴が弁護士になりすますために、大輔という名前に変えたい

という理由では、到底認められそうにありませんね。

まあ、ドラマの世界なので、当たり前ですけど。

実際、ドラマの中では鈴木は、うやむやなまま区役所から帰ってきたことを考えれば、戸籍上の名前を変えることは諦めたんでしょうね。

このあたりは、現実世界との整合性が取れているので、よかったよかった、です。

 

姓の漢字を変えることは、簡単にできる(場合もある)

 

え?あかんのちゃうの?と思われるかもしれません。

この場合とは、姓(名字)に使われている漢字を、正字から俗字にするときです。

例えば、「𠮷田→吉田」、「淺田→浅田」、「瀨川→瀬川」などへの変更です。

ほかにも数多くありますが、これらの漢字の変更に限っては、本籍地を管轄する市区町村の窓口に申出書を提出すれば、簡単にできます。

もちろん、変更を認めるか否かは自治体の判断によりますが、明確な基準(適応表のようなもの)を、国は定めています。

 

なお、正字とは、漢字の成り立ちから成立した正規の文字のことです。

例えば、弁護士の「弁」は俗字なのですが、その正字は何なのかご存じですか?

 

正解は、「辯」です。

この漢字には、論争する、理論だてて話す、言い訳する、巧みに言う、言論に長けた、用意する、という意味があります。

まさしく弁護することから、その俗字である「弁」の文字を現在では使用しているのですね。

 

一方、同じく士業で弁理士の「弁」の正字は、何かご存じですか?

 

正解は、「辨」です。

この漢字には、識別する、わきまえる、言い訳する、治める、裁く、用意する、という意味があります。

だから、特許など知的財産権(工業所有権)の専門家である弁理士は、「辨」の俗字である「弁」の文字を使用しているのです。

 

「辯」と「辨」を日常に使い分けて使用していたのでは、画数が多くて面倒だし、違いも分かりにくいですよね。

ベンはベンでも不便(ベン)なので、現在では、どちらも俗字の「弁」が使用されています。

 

これと同じように、名字(姓)についても、今後は利便性を理由に俗字にしたいというのが、国の目指すところです。

よって、正字から俗字への名字の漢字の変更は、市区町村の窓口で、「待ってました!」ぐらいの感じ(言いすぎかな?)で受け付けてくれるのです。

でも、難しい漢字(名字)の代名詞とも言えるサイトウさんは、ちょっと注意が必要ですよ。

「齋藤」「齊藤」「斎藤」「斉藤」とありますが、「齋」の俗字は「斎」で、「齊」の俗字は「斉」ですから、漢字の成り立ちが違います。

つまり、文字が異なると言う判断から、変更できる俗字が決まっています。

〇 齋→斎

〇 齊→斉

✖ 齋→斉

✖ 齊→斎

 

サイ(差異)がありますねー。なんてね。

 

一度替えると、もう二度と元に戻せなくなる!

 

ここに注意してくださいね。

先祖代々使ってきた姓の漢字ですが、一度俗字にすると、もう正字には戻せなくなります。

しかも、同じ戸籍の人は、当然ながら全員漢字が変わります。

名字(姓)の漢字を俗字に変える時は、親族の皆様にも、一度ご相談されるのが良いかもしれませんね。